- ラテラルシンキングって何?
- どんな役に立つの?
- 他の思考法との違いは?
昨今、その重要性が注目されているビジネススキルとして「ラテラルシンキング」があります。
ロジカルシンキングとは違って、自由な発想を促しイノベーションを起こすのに必要となる思考法で、ビジネス環境の変化のスピードが増す中その価値が高まってきています。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、実際に業務を行う際に本当に必要な能力、求められている能力は何かを身を知ってきました。
その経験を活かして、あなたが是非とも身に着けるべき思考法の一つであるラテラルシンキングについて紹介します。
この記事を読むことで、ラテラルシンキングの特徴や手法、効果などを理解することができます。
この記事で得られた知識を基に、その思考法を実際に身に着け、転職での強力なアピールポイントとなってもらえると幸いです。
ラテラルシンキングとは
ラテラルシンキングとは、固定概念にとらわれず物事を多面的に捉えて解を導き出す思考法です。
日本語では「水平思考」と訳され、これまでの前例に囚われず、新しい視点を持って物事を考えていくのが特徴です。
ロジカルシンキングとは対極的で、前提を疑いその前提を広げていく方向に思考していきます。
特徴
ラテラルシンキングの具体的な特徴は以下の通りです。
- 前提条件に囚われない
- 水平方向に発想を広げる
- 多面的な視野
- 自由な発想
様々な制約を外し、あらゆる視点から物事を見て自由に発想をする思考方法です。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングは前提条件を基にして論理展開する垂直思考です。
前提に依存し、前提次第で結論が変わってしまうという欠点があります。
それに対してラテラルシンキングは、新しい前提条件の可能性を広げていく水平思考です。
既存の前提を疑い縛られないため、あらゆる可能性を見出すことができます。
ロジカルシンキングの欠点を補完する思考法とされています。
得られる効果
ラテラルシンキングを用いることで得られる効果について紹介します。
得られる効果は、新しい発想やイノベーションを生み出すことが出来ることです。
ビジネス環境の変化のスピードは増々速くなり、また人々の価値観の多様化が進んでいます。
そのため、どんどんと常識や慣習、これまでの基準というものが塗り替えられています。
このようなビジネス状況を生き抜くためには、これまでの前例にないような新しいアイデアやイノベーションを生み出す必要があります。
ラテラルシンキングを用いることで、既成概念として浸透している事柄や常識だと思い込んでいる事柄を取っ払って、新しい解を導き出すことが出来ます。
その結果、新しい発想やイノベーションを生み出すことが可能となります。
具体的な思考方法
ラテラルシンキングの具体的な思考方法について紹介します。
具体的な思考の方法について理解することで、実践で積極的に活用することが出来るようになります。
前提を疑う
固定観念や前提に対して本当にそうなのだろうか?勝手な思い込みをしていないか?と疑うことで、新しい発想を導き出すことができます。
ここで先に有名な例題を紹介します。
例題:13個のみかんがあります。これを3人の子供に均等に分けるにはどうしたらいいでしょうか?
これに対する解答例は以下の通りです。
- 解答例1
- 子供一人に対して4個ずつみかんを配り、残りの1個を三等分に切って分ける。
- 解答例2
- みかんを全部ミキサーにかけ、ジュースにして3人の子供に均等に分ける
- 解答例3
- 子供一人に対して4個ずつみかんを配り、残りの1個の種を植え、育ったみかんを均等に分ける。
それぞれの答えについて解説します。
解答例1
固形のまま今すぐに配るという暗黙の前提を基に解答をだしています。
これはロジカルな考え方で、合理的な解の導き方です。
解答例2
それに対して解答例2では、固形のまま配らないといけないという先入観を疑うことにより、「ジュースにする」という新しい発想を導き出せています。
これがラテラルな考え方で、ロジカルに考えては出てこないような解を導きます。
解答例3
さらに解答例3では、いますぐ分けないといけないという枠組みを疑うことにより、「植えて育った後に分ける」という大胆な発想を導き出せています。
これもラテラルな考え方で、思いもつかないような解を導きます。
この疑うべき前提には具体的に以下のようなものがあります。
問題設定を疑う
解決すべき問題の設定を疑う。根本的な問題解決になっているか?
目的設定を疑う
設定している目的が妥当かどうか疑う。他に潜在的な目的があるのではないか?
枠組みを疑う
前提としている枠組みの範囲を疑う。狭い視野で考えていないか?
先入観を疑う
無意識の先入観を疑う。自分は固定観念に囚われてはいないか?
視点を疑う
見ている視点を疑う。自分からの視点だけで考えていないか?
新しい見方をする
観点を変えることで、今までとは違う見方で新たな発想を得ることが出来ます。
これまでの使い方に囚われず、新しい用途で利用できないか?
これまで対象としていた時間を変更したらどうだろうか?
と見方を変えて考えていきます。
その際の有用なツールとして、下記の”オズボーンのチェックリスト法”というものがあります。
それぞれのチェック項目について考えることで新たな発想を促します。
- 転用:他に使い道はないか?
- 応用:他のアイデアを真似られないか?
- 変更:要素の一部を変えられないか?
- 拡大:大きく・重くしたらどうか?
- 縮小:小さく・軽くしたらどうか?
- 代用:他のもので代用できないか?
- 置換:他のものと入れ替えてみたらどうか?
- 逆転:上下・順序を逆にしてみたらどうか?
- 結合:アイデアや目的を組み合わせてみたらどうか?
組み合わせる
既存のもの同士を組み合わせることで、新たなものを導き出すことが出来ます。
既にある考えや結論を組み合わせたらどうだろうか?と考えていきます。
これについても先に上げたオズボーンのチェックリスト法に含まれています。
フレームワーク
フレームワークとは、思考や分析、発想が効率的に行えるように、考え方や対象範囲などが定型化されたものです。
枠組み通りに思考・分析することで漏れなく無駄なく結論を導き出せ、状況に応じて適切なフレームワークを用いることで効率化が図れます。
ラテラルシンキングの具体的なフレームワークを紹介します。
- ブレインストーミング
- 欠点希望点列挙法
- オズボーンのチェックリスト法
- SCAMPER
- マンダラート
- マインドマップ
- シックス・ハット法
ブレインストーミング
集団で意見を出し合うことでお互いに刺激を受け、新しい発想をもたらす手法です。
会議などで用いられることが多いです。
自由な発想を促すのが重要なため、以下のようなルールを設けて行うと効果的です。
ブレインストーミングの四原則
- 否定しない・判断しない・結論を出さない
- 突飛な意見を歓迎する
- 質より量を重視する
- 出た意見を組み合わせる
欠点・希望点列挙法
欠点と希望する点について意見を上げて、それについて考える手法です。
欠点列挙法:「ここが良くない」という欠点を列挙し、それを改善するための方法を考える
希望点列挙法:「こうだったらいいのに」という希望点を列挙し、それを実現するための方策を考える
オズボーンのチェックリスト法
9つの観点で新しい発想を促す手法です。
転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、置換、逆転、結合
について考えることで新しい発想をもたらします。
商品開発や改良で用いられることが多いです。
SCAMPER
7つの問いで新しい発想を促す手法です。
オズボーンのチェックリスト法を改良したもので、以下の問いに対して考えを進めていきます。
S(Substitute):代用、C(Combine):結合、A(Adapt):適応、M(Modify):修正、P(Put to other purposes):転用、E(Eliminate):削減、R(Reverse):逆転
マンダラート
まんだら模様のようなマス目を作り、そのマスに要素を埋めていくことで考えを深めていく手法です。
具体的な方法が以下の通りです。
- 3×3の9マスの中心のマスに課題や目標を記入する
- その周りの8つのマスに必要な要素を記入する
- この要素をさらに外側を囲う3×3の9マスの中心に記入する
- これらについても同様にその周りの8つのマスに必要な要素を記入する
マインドマップ
頭の中で考えていることを書き出すことで、情報の整理や新しい発想を促す手法です。
主題を中心に置き、放射上に関連する要素を書き、それぞれをさらに細分化して要素を書いていきます。
シックス・ハット法
6つの視点で新しい発想を促す手法です。
客観的、直感的、否定的、肯定的、創造的、俯瞰的
のそれぞれの視点で考えを進めていく手法です。
習得方法
ラテラルシンキングを身につける方法について紹介します。
概念や手法、フレームワークについて紹介してきましたが、身に付いて実際の業務で使えないと意味がありません。
実践
実践するのが一番効果的です。
実際の業務や私生活において、紹介した手法やフレームワークを当てはめて思考するようにします。
ロジカルシンキングを意識して実践することで、もっとも効果的に身につけることが出来ます。
トレーニング(研修、セミナー)
今の会社で研修カリキュラムがあれば積極的に参加することをおススメします。
ケーススタディを用いたワークショップを行うので、理論への理解を深めつつ模擬実践に取り組むことができます。
本・e-learning
様々な本やオンライン学習が販売されていますが、実際に実践で使用することで身に付いていくため、これらは知識の補強程度と考えるのがよいです。
他の思考法について
ラテラルシンキングとよく共に紹介される思考法に、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングがあります。
この二つの思考法について、ラテラルシンキングとの違いとその特徴について簡単に紹介します。
ラテラルシンキングでは賄えない部分をカバーできる思考法で、さらに状況に応じて3つの思考法を合わせて使用できるととても効果的になります。
ロジカルシンキング(論理的思考)
ロジカルシンキングは、筋道だった一貫した矛盾のない合理的な考え方を行う思考法です。
日本語では「論理的思考」と呼ばれます。
物事を体系立てて整理し、関係性を正しく把握し、適切な解を導きます。
説得力のある説明をすることが出来るようになります。
ロジカルシンキングについては「転職に有効なビジネススキル|ロジカルシンキング」で詳しく解説しています。
クリティカルシンキング(批判的思考)
クリティカルシンキングとは、物事を「本当に正しいのか?」と疑問を持ち、本質をついた結論を導き出す思考法です。
日本語では「批判的思考」と呼ばれます。
前提や得られた情報、根拠などに疑問を投げかけ、客観的な視点で物事を考えていくのが特徴で、物事の本質を理解する際に活躍します。
クリティカルシンキングについては「転職に有効なビジネススキル|クリティカルシンキング」で詳しく解説しています。
3つの思考法の組み合わせ
ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングの3つの思考法を組み合わせることで大きな効果を発揮することができます。
具体的な方法
- ラテラルシンキングで、自由な発想をし固定観念に囚われない新しい発案をする
- ロジカルシンキングで、1つのことについて深堀りし正しい結論を導き出す
- クリティカルシンキングで、導き出す結論の精度を上げる
このようにそれぞれの特徴を活かして組み合わせて活用することで、効果的に結論を導き出すことができます。
まとめ
ラテラルシンキングについて、特徴や手法、他の思考法との違いなどについて紹介してきました。
ラテラルシンキングは、昨今のビジネス環境の変化に伴い、ビジネスマンにとって重要なビジネススキルとして注目されてきています。
本記事で、その有効性について理解してもらえたら幸いです。
他のビジネススキルと共に、ぜひ転職活動での大きなアピールポイントとして成熟させてもらえればと思います。
転職活動におけるビジネススキルの効果的な活用方法については「ビジネススキルとは|IT業界未経験者が転職を成功させる為に有効なスキル!」で詳しく解説しています。