- IT業界未経験者が転職するのに必要な資格はある？
- IT資格ってどんなものがある？
業界未経験のあなたがIT業界への転職を成功させるために、持っていると有利になる資格というのはあるのでしょうか？
結論から言うと、転職に必要なのは資格の有無ではなく”仕事が出来る”能力(＝ビジネススキル)があるかどうかです。
業界未経験者にとってIT業界への転職は狭き門な為、間違った方向に努力している余裕はありません。
そのため、重要なことにフォーカスして転職活動を進めていくことが大事です。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、実際に業務を行う際に本当に求められている能力は何かを身を持って感じてきました。
その経験を活かし、この記事では以下のことについて紹介します。
・IT資格の必要性
・知名度の高いIT資格一覧
・あなたが優先してやるべきこと
この記事を参考にすれば、転職成功のために正しい方向に向かって努力し、IT転職実現への道を進むことができるようになります。
IT業界で求められる能力
IT業界というのは、変化のスピードが特に速く、さまざまな新しい技術・サービスがどんどん生まれてくるような業界です。
そんな業界の中で、求められるのは以下のような能力です。
- コミュニケーション能力
- 論理的に物事を考え、問題解決へと導ける能力
- 変化を恐れない姿勢
- 自ら学び続けていく姿勢
つまり、IT業界への転職に必要なのはITの専門知識や技術などのITスキルではなくこの様な「仕事ができる能力」です。
転職に必要な「仕事ができる能力」
仕事ができる能力＝ビジネススキル
仕事が出来る能力というのは、今まであなたが経験してきた仕事の中で得られてきたスキルです。
そのようなスキルを表したものが「ビジネススキル」です。
詳しくは「ビジネススキルとは｜転職を成功させる為に有効なスキル！」で解説しています。
ここでは簡単に紹介します。
ビジネススキルとは
ビジネススキルとは、ビジネスマンが業務を行う上で高い実力を発揮するための能力のことを指します。
業務に必要な能力を様々な観点から項目化していて、業種や職種、役職など、業務内容や立場によって必要となる(優先すべき)スキルが異なります。
ビジネススキルの分類
ビジネススキルは以下のように分類できます。
- テクニカルスキル(業務遂行能力)：実際の業務を行う上で必要な知識や技術
- ヒューマンスキル(対人関係能力)：関係者とのやりとりをスムーズに的確に行う能力
- コンセプチュアルスキル(概念化能力)：物事の本質を見極める能力
- マネジメントスキル(管理能力)：人・モノ・金・時間など様々なものを管理する能力
冒頭で紹介したIT業界で求められる能力は、下の3つに分類される能力です。
ビジネススキルの具体的な項目については「ビジネススキル一覧｜体系化」で解説しています。
ビジネススキルを武器にする
IT業界未経験のあなたがIT業界への転職を実現させるためには、「これまでの経験を活かして異業種であるIT業界でも仕事が出来る」ということを示す必要があります。
そのため、これまでの仕事において、どう考え、どう工夫し、どう行動した結果、どう成果が得られたか。そのことが、新しい職場でどう役に立つのか、を明確にアピールすることが重要です。
そのアピールの際に武器になるのがビジネススキルです。
ビジネススキルを武器にする方法
ビジネススキルを武器にして、転職を成功に導くための手順は以下の通りです。
- あなたのビジネススキルを知る：これまでの経験をたな卸しする
- 企業が求めるビジネススキルを知る：応募企業が欲しているビジネススキルを調査する
- ビジネススキルをアピールする：双方にマッチしたビジネススキルを主力武器にする
転職が成功するのは、あなたの能力と企業が求める能力が合致したときです。
資格取得は転職には効果薄
では、転職を成功させるためにITの資格をとっておくことは必要でしょうか？
結論としては、業界未経験のあなたにとってはあまり必要ではありません。
資格が評価されない理由
- IT業界でより重視されるのはITスキルよりもビジネススキルの下3つ
- 未経験で資格だけあっても実績を伴っていないのであまり意味が無い
冒頭でも述べたように、重要視されるのはIT知識よりも仕事ができる能力です。
ITの資格自体は技術的なスキルの立派な証明にはなります。
ただし、経験者がこれまでのIT実績と共に持つからこそ効果があるもので、未経験のあなたが実績を伴わない状態で資格だけ持っていてもあまり意味がありません。
資格が有利に働く点
ただし、IT資格が転職に有効に働く点があります。
それは以下の通りです。
ITへの熱意ややる気をアピールできる
資格そのものというよりも、ITに関する勉強をしているという姿勢が評価されます。
企業は、異業種転職であるあなたに対して「本当にIT業界に興味があるのか？」という点を懸念します。
ITに関する知識をつけるために自ら率先して実際に行動に移しているという点をアピールできます。
熱意ややる気のアピールの効果については「IT未経験者のための失敗しない志望動機の書き方」でも解説しています。
IT業務やIT用語への理解が進む
資格の勉強をすることで、ITの専門的な技術や用語についての理解も深まります。
その結果、IT業務についてより理解しやすくなり、狙う職種の選択にも役立ちます。
また、面接の場などで専門的な話をされてもある程度受け答えができるようになります。
IT業界への向き不向きを事前確認できる
IT資格という専門的な勉強を実際にやってみることで、あなたが本当にIT業界でやっていけるのか？本当に仕事としたいことなのか？などを事前に判断することができます。
いざ転職した後に肌に合わないというようなことを避けるためにも効果があります。
以上のように、資格そのものの有無よりも資格取得に向けた勉強をすること自体に価値があります。
やるなら適切な資格を選ぶ
実際に勉強をするのであれば、トンチンカンな資格の勉強をしないように注意が必要です。
IT資格そのものよりもそのための勉強に価値があるということを紹介しましたが、
あなたのレベルに合っていなかったり、応募する職種にまったく関係ないような資格を勉強しても、何のアピールにもならないどころか、IT業界の不理解を露呈してしまうことになるため注意が必要です。
IT業界の職種については「未経験者のためのIT業界の職種一覧」で紹介しているので、一読してから続きを読み進めると理解が深まると思います。
知名度の高いIT資格の紹介
間違ったIT資格の勉強をしてしまわないために、業界で知名度の高いIT資格について紹介します。
ITの資格は大きく以下の2つに分類できます。
- 国家資格
- 民間資格(ベンダー資格)
国家資格
国家資格はIPA(情報処理推進機構)が主催している資格です。
基本情報技術者試験
「基本情報技術者試験」は、ITエンジニアの登竜門と位置づけられている最も知名度の高い試験です。
「テクノロジ系」・「マネジメント系」・「ストラテジ系」・「プログラミング知識」と、上流から下流工程までの基礎的な知識を取り扱います。
実際のIT業務に沿った内容なので、転職後にも役立つ内容です。
対象：事務職系以外のIT職種すべてに有効
難易度：大学生が就職前に取ってるくらいのレベル
結論から言ってしまうと、IT業界未経験のあなたはこれさえ勉強しておけばよいです。
IT業務の網羅的な内容を基礎から学べるので未経験者には打ってつけです。
ITパスポート試験
「ITパスポート試験」はより初歩的な試験とされていますが、注意が必要です。
ネットでよく、「IT資格は初心者向けのITパスポートから取ろう」というような書き込みを見ますが、これからIT技術を駆使して仕事をしていこうとしているあなたにはまったく不要な資格です。
「ITを使う側の人を対象」にした試験であるため、転職時のアピールにならないどころか、「何でこんな資格とってんだ？」と採用担当に懸念を持たれるため、間違った勉強をしないようにしましょう。
対象：IT事務系の職種には有効
難易度：初歩的なレベル
応用情報技術者試験
「応用情報技術者試験」は、基本情報技術者試験の上位資格で、よりレベルの高いIT知識を扱います。
基本情報技術者試験に合格し、さらにIT業界での実務を少し経験した人が目指すような資格です。
対象：ITエンジニア系職種
難易度：IT業務経験者が取るレベル
その他“高度な知識・技能の試験”
ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験など、高度な知識・技能の試験カテゴリにある資格は非常にレベルが高く、各々の分野でしっかりと実務経験を積んだ人が狙う資格です。
対象：ITエンジニアの該当職種
難易度：IT業務経験者が取るレベル
民間(ベンダー)資格
民間(ベンダー)資格は、民間(ベンダー)製品に関してその知識や活用力を証明するためのものです。
製品を取り扱う「インフラエンジニア」系職種向けの資格が多いです。
難易度はエンジニアエントリー向けからエキスパート向けまでレベル分けがありますが、基本的にはIT業務経験者が狙う資格です。
ORACLE MASTER
「ORACLE MASTER」はデータベース管理ソフトで有名なオラクルが実施する、Oracle Databaseの管理スキルを証明する資格です。
データベースやSQLに関するスキルを扱います。
対象：インフラエンジニア、システムエンジニアなど
シスコ技術者認定
「シスコ技術者認定」はネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズが主催する、ネットワークに関するスキルを証明する資格です。
対象：インフラエンジニアなど
Linux技術者認定試験(LPIC)
「Linux技術者認定試験(LPIC)」はLinuxOSやLinuxシステムなどに関するスキルを証明する資格です。
対象：インフラエンジニアなど
Oracle認定Javaプログラマ
「Oracle認定Javaプログラマ」はアプリケーション開発に使用されるJavaのスキルを証明する資格です。
対象：プログラマ、システムエンジニアなど
資格の勉強よりも先にやるべきこと
IT資格について紹介してきましたが、冒頭でも述べたように資格はさして重要ではありません。
転職を成功させるために資格よりも先にあななたがやるべきことについて紹介します。
IT業界研究
転職を成功に導くためには、まずIT業界についてしっかりと学ぶことが重要です。
IT業界にはどのようなジャンルがあって、どんな仕事があるのか、企業や職種にはどういったものがあるのか。
あなたがこれから向かう業界のことを十分に理解した上で、目標とする企業・職種を探しましょう。
転職を成功させるには、数ある業種、職種の中からあなたに最適なものを見つけ、そこに向かって的確な準備をしていくことが大事です。
こうすることで、失敗のない転職活動を行なうことができます。
IT業界については「IT業界への転職を実現させるために必要なIT業界研究」で詳しく紹介しています。
ビジネススキルの整理
冒頭で紹介したように、あなたの価値をアピールするためには仕事が出来る能力である「ビジネススキル」が重要になります。
これまでの経験をたな卸しし、ビジネススキルとして整理します。
ビジネススキルについては「転職を成功に導くビジネススキル」で詳しく紹介しています。
企業調査
転職を成功させるためには、応募先企業のことをしっかりと調査し対策をすることが大切です。
内定が得られる条件というのは以下の等式が成り立ったときです。
企業側の求める人材＝あなたのアピールできる価値
つまり、企業側が本当に欲しているもの(スキル、経験、他業界知識などなど)を徹底的に調査することで、その要求に合致した的確なアピールを行なうことができるようになります。
以上のように、IT業界未経験からの転職を成功させるためには資格の勉強よりも先にやるべきことがとても多くあります。
しかしながら、これらのことをあなた一人で進めた場合、時間がかかる上に質も上がりずらいのが現実です。
そのため本サイトでは、このようなやるべきことを効果的、効率的に行なうために、「転職エージェント」の利用をおすすめしています。
転職エージェントを利用すると、多くのノウハウを持った転職のプロが「担当者」として付き、あなたの転職活動に対してあらゆるサポートを行なってくれます。
転職エージェントについては「転職エージェントとは｜IT業界未経験からの転職に必須な理由と選び方」で詳しく解説しています。
まとめ
業界未経験者がIT業界への転職を成功させるためには、資格の取得や勉強よりも、”仕事が出来る”能力であるビジネススキルを優先させることが大事だと説明してきました。
要点をまとめると以下の通りです。
- IT資格よりもビジネススキルが評価される
- 唯一勉強する価値があるとすれば“基本情報技術者試験”
- 資格の勉強よりも先に以下のことをやるべき
- IT業界研究
- ビジネススキルの整理
- 企業調査
資格自体は、ITスキルを学んだり、IT業界経験者が転職をする際にはとても効果を発揮します。
しかしながら、業界未経験のあなたは実務経験がないため、ただの机上の知識になってしまいます。
そのため、よりあなたの能力を的確に示すことができるビジネススキルに重きをおいて、IT業界研究、企業調査を行ないつつ転職活動を進めていきましょう。