- ロジカルシンキングって何?
- どんな役に立つの?
- 他の思考法との違いは?
ビジネスマンが身に着けるべきビジネススキルとして「ロジカルシンキング」というものをよく耳にすることがあるかと思います。
単純に「論理的に考える」という理解だけでは不十分で、本当にその真価を発揮するには、正しい知識と実践による習得が必要です。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、実際に業務を行う際に本当に必要な能力、求められている能力は何かを身を知ってきました。
その経験を活かして、あなたが是非とも身に着けるべきビジネススキルの一つであるロジカルシンキングについて紹介します。
この記事を読むことで、ロジカルシンキングの特徴や手法、効果などを理解することができます。
この記事で得られた知識を基に、その思考法を実際に身に着けることで、転職での強力なアピールポイントとなります。
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、筋道だった一貫した矛盾のない合理的な考え方を行うことです。
物事を体系立てて整理し、関係性を正しく把握し、適切な解法を導きます。
日本語では「論理的思考」と呼ばれ、ビジネスマンに求められるビジネススキルの代表格とされています。
あらゆる場面で役に立ち、また後述する得られる効果も大きいため、是非とも身に着けたいビジネススキルのうちの一つです。
2つの基本概念
ロジカルシンキングの基本的な考え方として2つの概念があります。
- MECE
- So What / Why So
ロジカルシンキングでは、思考するときのこの基本概念を基に論理展開をしていきます。
MECE
お互いに重複することなく、全体を通して漏れもないという考え方です。
Mutually(相互に)・Exclusive(排他的な)・Collectively(全部で)・Exhaustive(完全な)の頭文字で、漏れなく・ダブりなくを意味します。
ビジネスにおいて、課題に対する解決策を導く際には事象をシンプルな要素に分解して考えます。
その際の分解の仕方について、ダブりがないことで無駄な工数が生じず、漏れがないことで見落としがなくなることになります。
So What / Why So
結論に対して、何をすればよいのか、なぜそうなるのかという考えを繰り返すことで、物事の本質にせまる考え方です。
So What?=だから何?、Why So?=なぜそうなるの?という意味になります。
表面上のさまざまな事実に対して、So What / Why Soを繰り返すことで、論理の飛躍がなく、結論と根拠が繋がっている解を導き出すことができます。
具体的な論理展開の手法2つ
ロジカルシンキングにおける具体的な論理展開の2つの手法を紹介します。
- 帰納法
- 演繹法(3段論法)
シーンに応じて使い分けることで合理的な結論を導き出すことが出来ます。
帰納法
さまざまな事象から得られる共通点から結論を導き出す論法です。
複数の事実から導き出される傾向やパターンを対象となる事象へ当てはめて結論を出します。
統計的な考え方になります。
具体例
1年Aクラスの平均身長は高い・・・事象
1年Bクラスの平均身長は高い・・・事象
1年Cクラスの平均身長は高い・・・事象
1年の平均身長は高い---傾向・パターン
1年Dクラスの平均身長は高い⇒導き出される結論
欠点
共通点を見出すためのデータが少なかったり、偏っていると信頼性が低くなってしまいます。
そのため、データの質と量が重要になってきます。
演繹法
一般的事実を前提として、それを基に結論を導き出す論法です。
3段論法とも呼ばれ、帰納法とは対称的な論法です。
前提を一般論や普遍的な事実としているため説得力が高いのが特徴で、数学的、哲学的な考え方になります。
有名な具体例
人は必ず死ぬ---一般論・普遍的事実
ソクラテスは人である・・・事象
ソクラテスは必ず死ぬ⇒導き出される結論
欠点
前提としていることに誤りや偏向があった場合、間違った結論が導き出されてしまいます。
フレームワーク(枠組み)
フレームワークとは、思考や分析、発想が効率的に行えるように、考え方や対象範囲などが定型化されたものです。
枠組み通りに思考・分析することで漏れなく無駄なく結論を導き出うことができます。
状況に応じて適切なフレームワークを用いることで効率化を図ることができます。
具体的なフレームワークは以下の通りです。
- 空・雨・傘
- 3C/4C
- ピラミッド構造
- ロジックツリー
空・雨・傘
3段階の思考法を行う代表的なフレームワークです。
事実を正しく認識して、そこから分析・解釈を行い、最終的に適切な解を導く思考法です。
具体例
空:空を見ると曇っている・・・事実
雨:雨が降りそうだ・・・分析・解釈
傘:傘を持っていこう⇒判断・解決策
3C/4C
主に事業戦略を考える際に用いられるフレームワークです。
Company:自社、Competitor:競合他社、Customer:顧客の3つのCについて考えることで、偏りなく全体を捉えた戦略を導き出すことができます。
ピラミッド構造
結論と根拠をピラミッドの形で考えるフレームワークです。
頂点に結論・主張を置き、その下の階層に根拠を置き、さらにその根拠に対する根拠を置いていくことを繰り返していく思考法です。
ロジックツリー
事象をツリー構造に分解していき考察をするフレームワークです。
要素に分解して考えることで問題の本質を見極めることができます。
以下の3つのツリーがあります。
3つのツリー
- 要素分解(what)ツリー:小さな要素に分解して考えていく方法
- 原因追及(why)ツリー:問題の原因を掘り下げて考えていく方法
- 問題解決(how)ツリー(イシューツリー):問題の解決策を探っていく方法
得られる効果
ロジカルシンキングを身に着けることで得ることができる効果について紹介します。
ロジカルシンキングの考え方ができるようになると、他の様々なビジネススキルのレベルが向上します。
得られる効果は以下の通りです。
- 分析力の向上
- 問題解決能力の向上
- 提案力の向上
- コミュニケーション能力の向上
- 生産性の向上
分析力の向上
物事を構造的に捉えられ、適切な結論を導き出すことが出来るようになります。
問題解決能力の向上
物事を漏れなくダブりなく考えることによって、問題の原因や場所を特定でき、適切な解決方法を導き出すことが出来るようになります。
提案力の向上
結論に対する有効な根拠を示すことによって、説得力のある提案を行うことが出来るようになります。
コミュニケーション能力の向上
物事を漏れなくダブりなく捉えることによって、無駄がなく適切なやりとりをスムーズに行うことが出来るようになります。
生産性の向上
問題の本質を見極めることで、正しい方向へ向かうことができ、無駄のない働きが出来るようになります。
習得方法
ロジカルシンキングを身につける方法について紹介します。
概念や手法、フレームワークについて紹介してきましたが、身に付いて実際の業務で使えないと意味がありません。
習得には以下の方法が考えられます。
- 実践
- トレーニング(研修、セミナー)
- 本、e-learning
実践
実践するのが一番効果的です。
実際の業務や私生活において、紹介した手法やフレームワークを当てはめて思考するようにします。
ロジカルシンキングを意識して実践することで、もっとも効果的に身につけることが出来ます。
トレーニング(研修、セミナー)
今の会社で研修カリキュラムがあれば積極的に参加することをおススメします。
ケーススタディを用いたワークショップを行うので、理論への理解を深めつつ模擬実践に取り組むことができます。
本・e-learning
様々な本やオンライン学習が販売されていますが、実際に実践で使用することで身に付いていくため、これらは知識の補強程度と考えるのがよいです。
欠点
ロジカルシンキングの有効性について紹介してきましたが、ここではその欠点について紹介します。
ロジカルシンキングは万能などではなく、その理論ゆえに欠点が存在します。
その欠点を知った上で使用しないと間違った結論を導き出しかねないので注意が必要です。
- 前提を基に論理展開をしていくので、事実だと思っていた前提が間違っていたり偏向していたりすると、誤った結論が導き出されてしまう
- あくまで前提を基にした論理展開なため、今までに事例の無いような新しい結論を導くには向いていない
- 理屈で論理展開を行うため、人間の感情などは考慮に入らないので、人とのコミュニケーションにそのまま直に使用すると軋轢が生じかねない
このようなロジカルのデメリットを補ってくれるものとして、ラテラルシンキングとクリティカルシンキングという思考法があります。
他の思考法について
ロジカルシンキングとよく共に紹介される思考法に、ラテラルシンキングとクリティカルシンキングがあります。
この二つの思考法について、ロジカルシンキングとの違いとその特徴について簡単に紹介します。
ロジカルシンキングでは賄えない部分をカバーできる思考法で、さらに状況に応じて3つの思考法を合わせて使用すると大きな効果が得られます。
ラテラルシンキング(水平思考)
ラテラルシンキングとは、固定概念にとらわれず、物事を多面的に捉えて複数の結論を導き出す思考法です。
日本語では「水平思考」と呼ばれます。
これまでの前例に捕らわれず、新しい視点を持って物事を考えていくのが特徴で、ロジカルシンキングとは対極的な思考法です。
いままでに前例のない新しいこと(イノベーションを伴うこと)をする際に活躍します。
ラテラルシンキングについては「転職に有効なビジネススキル|ラテラルシンキング」で詳しく解説しています。
クリティカルシンキング(批判的思考)
クリティカルシンキングとは、物事を「本当に正しいのか?」と疑問を持ち、本質をついた結論を導き出す思考法です。
日本語では「批判的思考」と呼ばれます。
前提や得られた情報、根拠などに疑問を投げかけ、客観的な視点で物事を考えていくのが特徴で、物事の本質を理解する際に活躍します。
クリティカルシンキングについては「転職に有効なビジネススキル|クリティカルシンキング」で詳しく解説しています。
3つの思考法の組み合わせ
ロジカルシンキング、ラテラルシンキング、クリティカルシンキングの3つの思考法を組み合わせることで大きな効果を発揮することができます。
- ラテラルシンキングで、自由な発想をし固定観念に囚われない新しい発案をする
- ロジカルシンキングで、1つのことについて深堀りし正しい結論を導き出す
- クリティカルシンキングで、導き出す結論の精度を上げる
このようにそれぞれの特徴を活かして組み合わせて活用することで、効果的に結論を導き出すことができます。
まとめ
ロジカルシンキングについて、特徴や手法、他の思考法との違いなどについて紹介してきました。
ロジカルシンキングは、ビジネスマンにとって最も重要なビジネススキルの一つと言われるほど、とても効果的なスキルです。
本記事で、その欠点も踏まえてその有効性について理解してもらえたら幸いです。
他のビジネススキルと共に、ぜひ転職活動での大きなアピールポイントとして成熟させてもらえればと思います。
転職活動におけるビジネススキルの効果的な活用方法については「ビジネススキルとは|IT業界未経験者が転職を成功させる為に有効なスキル!」で詳しく解説しています。