- IT業界は給料が高そうだけど本当?
- IT未経験だとどのくらいもらえそう?
- IT業界内の給与の傾向が知りたい
IT未経験者のあなたにとって、そもそもの内定を勝ち取ること自体が困難で、それに最注力すべきですが、入った後の給与も気になるというのも本音かと思います。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、IT業界の内情について多くのことを見知ってきました。
その経験を活かして、IT業界の給与について多面的に紹介します。
この記事を読むことで、IT業界の給与の傾向について知ることができ、さらにあなたが狙うべき職種や将来目指すべきキャリアを考える助けにもなります。
IT業界の年収
この記事では、あなたがIT業界に転職したらいくらくらい給与がもらえるのかについて紹介します。
IT社長がテレビなどに派手に登場したりして、IT業界は給料が凄まじく高いような印象を与えられがちですが、それは一部の例外です。
ただし、スキルや経験などにより多くの給料を望めることもまた事実です。
しっかりと正しい情報を知り、あなたの現実に即した転職活動に活かしていくことが大切です。
想定年収の考え方
IT業界全体の平均年収を見てもあまり意味がありません。
”平均”というのは極端なデータに大きく左右されてしまう統計手法なため、IT業界全体を一くくりに見ても、実情は一切見えてきません。
IT業界の年収の相場は、業種や職種などにより様々です。
そのため様々な角度からのデータを見て判断することが必要です。
IT業界未経験者の想定年収
IT業界未経験であるあなたの場合の給与はどのように想定したらよいでしょうか。
もし、あなたのこれまでのすべての経験が何の価値もなければ、新卒レベルの給料以下と想定されますが、それではそもそも内定を取れません。
あなたが内定を勝ち取るということは、マネジメント経験などのビジネススキルや他業界の知識などを”価値”だとみなされため採用されます。
そのためこの記事で紹介する給与水準は、業界未経験者のあなたにとっても大きく乖離することはなく参考になる値になります。
以上を踏まえ、IT業界に転職した際に想定される給与について様々な角度からのデータを紹介していきます。
本記事では、経済産業省が取りまとめた”IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果(2017年)”(現在リンク切れ)のデータを基に紹介していきます。
職種別の年収
まずは、職種別の年収について紹介します。
職種別の傾向を知ることで、あなたが今狙おうとしている職種や将来目指す職種の参考になると思います。
IT業界の職種については「IT業界未経験者のためのIT業界の職種」で詳しく解説しています。
IT職種ごとの平均年収とスキル標準レベル(後述)は以下のようになっています。
「情報サービス・ソフトウェア関連企業」(左側)と「インターネット関連企業」(右側)とで分かれて図示されています。
分かりやすく、表にしてみます。
IT職種 | 年収平均(万円) | スキル標準レベル平均 |
情報サービス・ソフトウェア関連企業 | ||
コンサルタント | 928.5 | 4.1 |
プロジェクトマネージャ | 891.5 | 4.2 |
高度SE・ITエンジニア(基盤設計担当・ITアーキテクト) | 778.0 | 4.0 |
SE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装) | 593.7 | 3.5 |
SE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装) | 568.5 | 3.4 |
SE・プログラマ(組込みソフトウェアの開発・実装) | 603.9 | 3.4 |
IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等)) | 758.2 | 3.9 |
IT運用・管理(顧客向け情報システムの運用) | 608.6 | 3.4 |
IT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート) | 592.2 | 3.3 |
IT教育(IT関連講師・インストラクタ等) | 651.0 | 3.6 |
上記に関する業務の営業・マーケティング | 783.3 | 3.5 |
インターネット関連企業 | ||
営業・マーケティング | 682.1 | 3.2 |
プロデューサー/ディレクター | 792.9 | 3.7 |
コンテンツクリエイタ/デザイナー | 411.0 | 3.1 |
エンジニア/プログラマ | 592.2 | 3.2 |
顧客サポート/ヘルプデスク | 390.9 | 2.9 |
その他 | 589.3 | 2.8 |
経産省の分析①
「プロジェクトマネージャやプロデューサーなどの管理系職種の方が、ITアーキテクトなどの高度SEやIT技術スペシャリストよりも給与平均が高い。」
⇒多くのチームメンバーを率いるような管理系の職種は、高ITスキル保持者よりも重宝されているようです。
経産省の分析②
「職種毎の平均スキルレベルの違いは、システムエンジニア・プログラマとしてキャリアをスタートし、キャリアアップにより、管理系やアーキテクト系に職種が変わるIT業界の一般的なキャリアパスと整合的な結果になっている。」
⇒キャリアアップが順当に評価されている証です。
その他の分析
コンサルタントやプロジェクトマネージャーなどの上流工程の職種の年収が高い傾向にあります。
反対に、サポートなどのバックオフィス(裏方)の職種の年収は低い傾向にあります。
⇒クライアントと直接接するような上流工程の仕事は高いスキルと経験が必要なため年収が高い傾向になります。
スキル標準レベル別の年収
次に、スキル標準レベルと呼ばれているレベル別の年収について紹介します。
(スキル標準レベルの説明は下表に記載しています)
スキルレベルによる傾向を知ることで、あなたの今後のキャリアアップへの参考になると思います。
スキルレベル | 年収平均(万円) |
レベル1(新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル) | 437.8 |
レベル2(上位者の指導のもとに仕事ができる若手人材レベル) | 499.2 |
レベル3(独立して仕事ができる中堅人材レベル) | 576.0 |
レベル4(部下を指導できるチームリーダーレベル) | 726.1 |
レベル5(社内での指導者・幹部レベル) | 937.8 |
レベル6/7(国内で/国際的に著名なレベル) | 1129.9 |
経産省の分析①
「スキル標準のレベルが上がるほど、年収の平均は徐々に高くなり、「レベル6/7」の平均値は1,000万円を超える結果となっている。」
⇒スキルアップが順当に評価されている証ですね。
経産省の分析②
「「レベル1」から「レベル3」までの給与水準の上昇は緩やかであるのに比べて、「レベル4」以降は上昇幅が大きくなっていることが読み取れる。」
⇒「レベル4」以降は、チームリーダーや指導者レベルです。
やはりマネジメント能力のある人材は高く評価されているようです。
マネジメント能力などのビジネススキルについては「ビジネススキルとは|IT業界未経験者が転職を成功させる為に有効なスキル!」で詳しく解説しています。
年代別の年収
次に、年代別の年収について紹介します。
年代別による傾向を知ることで、あなたの現在の給与水準の参考になると思います。
経産省の資料では、米国との給与の対比のための資料となっていますが、他のグラフと違って平均値だけでなく分布も表されているため、とても参考になるグラフです。
年代 | 年収平均(万円) | 年収平均幅(万円) |
20代 | 413.0 | (350~450) |
30代 | 526.0 | (350~650) |
40代 | 646.0 | (450~750) |
50代 | 754.0 | (450~950) |
分析
年代が上がるとともに平均年収も上がっており、一見順当に見えますが、よく見てみると年代とともに分布の範囲も大きく広がっています。
⇒これまでの各別年収の傾向から考えると、年齢が上がるにつれマネジメント系などの上流職へキャリアアップできるかどうかで年収に大きな差が出ると推察できます。
特に25%値の額が年代と共にほとんど上昇していないのが、とてもシビアな業界であることを表していると言えます。
このようなシビアなIT業界への転職のメリデメについては「IT業界への転職のメリット・デメリット」で詳しく解説しています。
また年代別の転職方法については「20代・30代・40代がIT転職を成功させる方法」で詳しく解説しています。
その他の傾向
経産省の資料には載っていない他の観点からの傾向について紹介します。
ここで紹介するのはIT業界に関わらず一般的で容易に想像できる傾向ですが、念のため紹介しておきます。
企業規模
IT業界のうち特にシステム構築の業種においては、二次請け三次請け構造が常態化しており、下請けになればなるほど利益が少なくなっていきます。
そのため、一次請けを担う大企業ほどその給与は高く、下請けになる中小企業ほど給与は低くなる傾向になります。
地域
都心部ほど給与が高く地方ほど給与が低い傾向があります。
ただし、リモートワークなどの普及により今後その差が縮まっていく可能性も考えられます。
IT未経験でも高い給与を得るために
最後に、IT業界未経験のあなたでも高い給与を得るためにすべきことを紹介します。
未経験だから給与が低くて当たり前、どんな薄給でも内定を取ることが先決。という考えは逆効果を生む可能性があります。
内定は、”あなたの価値”が企業に認められて初めて得られるものです。
そのため、高い給与を提示してもらえるほどの”あなたの価値”を示すようにすることが内定へも繋がっていきます。
上流工程の職種を狙う
具体的には、これまでの他業界での経験、実績を的確にアピールし、より上流の職を狙っていくのが効果的です。
上流工程の職種ほど、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルなど、ITスキル以外の能力が重要視されます。
そのため、IT実績のないあなたにとっては積極的に狙っていきたい職種になります。
上流工程のIT職種については「IT業界未経験からでも狙いやすいIT職種」で詳しく解説しています。
転職エージェントを利用する
また本サイトでは、効果的・効率的に転職活動を進めるために「転職エージェント」の利用をおすすめしています。
転職エージェントを利用するメリット
- IT業界に詳しいため、より具体的でリアルな業態、職種について教えてもらえる
- あなたの中にある、IT業界で活かせる経験を発見してくれる
- あなたのやりたい仕事とあなたの武器になる経験の最適解から狙うべき企業、職種を導き出してくれる
- 最新の動向を常に追っているため、新しい業態にも詳しい
- エージェントの報酬はあなたの決定年収に比例するので積極的に給与UP交渉を行なってくれる
あなたひとりでIT業界研究をするよりも、はるかに効率的にはるかに深く理解することができるようになります。
変化の早いIT業界においては、本やネットにある情報はすでに古いということが往々にして起こります。
毎日のように業界の情報を追っている転職エージェントは鮮度の高い情報を持っているため、非常に有効なサポートを行なってくれます。
転職エージェントについては「転職エージェントとは|IT業界未経験からの転職に必須な理由と選び方」で詳しく解説しています。
まとめ
IT業界の給与事情について紹介しました。
職種、スキル、年代と様々な角度から分析された情報によって、その実情を知ることが出来たと思います。
結論としては、より上流工程で活躍でき、マネジメントスキルなどの管理系の能力がある人材の給与が高い傾向にありました。
給与が高いということは、企業にとって価値があるということでもあります。
IT実績ゼロのあなたにとっても、ITスキル以外の部分での能力が高く評価されているというのはとても良いことです。
せひともこれまでの経験で培った、”仕事が出来る能力”であるビジネススキルを的確にアピールして、転職を成功に導いていってもらえたらと思います。