- ビジネススキルにはどんな種類があるのか知りたい
- 体系化されてるビジネススキル一覧が見たい
ビジネススキルと一言に言っても多種多様であり、漠然としがちです。
体系だって整理しないと、何があって、どれがどの位置づけで、どう重要なのか、イマイチ理解できないままになってしまいます。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、あらゆる場面でこれから紹介するビジネススキルの重要性を感じてきました。
そこでこの記事では、多種多様なビジネススキルを体系的にまとめ、一覧で把握できるようにしました。
この記事を参考にすれば、漠然としていたビジネススキルの項目とその内容が理解でき、
既にあなたの経験から習得しているビジネススキルは何か、これからあなたが目指す業種や職種においてどういったビジネススキルを習得していけばよいかを整理することができます。
ビジネススキルの体系化
ビジネススキルの分類方法については、カッツ理論というものがあります。
カッツ理論とは、1955年にハーバード大学の教授だったロバート・カッツという経営学者によって提唱された理論です。
とても古い理論ですが、現在でも人事評価や採用基準として参考にされているもので、転職を見越したビジネススキルの整理にこの理論を用いるのはとても有効です。
分類と一覧
カッツ理論では、ビジネススキルを「テクニカルスキル (業務遂行能力)」、「ヒューマンスキル (対人関係能力) 」、「コンセプチュアルスキル (概念化能力) 」の3つに分類しています。
本サイトでは、このカッツ理論を基に私のIT企業での長年の経験から重要と判断した「マネジメントスキル (管理能力) 」の分類を追加して体系化しました。
人材とスキルの関係性
さらにカッツ理論の特徴として、人材とスキルの関係性についても言及しています。
これは、組織内でのジョブレベルに応じて必要なビジネススキルを定義しています。
これによって、あなたが目指す職種・役職にとってどのビジネススキルが重要になっているかがわかります。
こちらにも「マネジメントスキル」の分類を追加しています。
それではここから、各分類の内容について詳しく紹介していきます。
テクニカルスキル(業務遂行能力)
テクニカルスキルは実際の業務を行う上で必要な知識や技術です。
一般的なパソコンスキルや業界の専門的なスキルが含まれます。
業界知識:商品知識・市場理解
業界特有の用語や知識、関係する企業の位置づけ関係性などについての理解。
専門知識・資格:ITスキル
プログラミング言語やシステム設計などの専門的なIT技術。
一般PCスキル:文書・資料作成能力
基本的なパソコンの操作やExcel、Powerpointなどを扱えるスキル。
社会人スキル:ビジネスマナー・倫理観
受け答えやメールの書き方など社会人としてのマナー・道徳観。
ヒューマンスキル(対人関係能力)
ヒューマンスキルは社内外における人とのやりとりをスムーズに的確に行う能力です。
コミュニケーション能力に代表されるスキルになります。
ヒューマンスキルは、仕事をするうえでどんな人にも最も重要視されるスキルです。
仕事は、組織やチーム、社外関係者など多くの人と関わることで成り立っています。このスキルがあると業務がスムーズに進み、高いパフォーマンスを発揮できるため、人事からの評価もとても高くなります。
「対人」、「伝える力」、「チーム」の3つに分類して体系化しています。
対人
コミュニケーション力
人間関係をストレスなく構築・維持する能力。さまざまな種類の人々とスムーズにやりとりする能力。
相手の言葉の本質を理解し自分の言葉もわかりやすく論理立てて話せる能力。
話す相手に応じた話し方(専門用語の有無や相手にとって価値のある情報の取捨選択など)ができる能力。
⇒仕事が円滑に進み、生産性が向上する。問題が立ちはだかっても協力して解決する関係が出来上がる。
ヒアリング力
相手の言葉をしっかりと聞き理解する能力。
相手の潜在欲求を引き出す能力。
⇒相手にとって本当に必要な提案をすることができる。
交渉力・折衝力
人と人、組織と組織のあいだに立ち、両者の意見交換をスムーズに行える能力。
⇒両者にとってwin-winの結末を導き出せる
コンフリクトマネジメント(調整力)
意見の違いや対立などをネガティブに捉えず、成長や発展の機会として問題解決を導く能力。
⇒関係者が率直に意見を言える雰囲気が作られ、活発な議論が行われ、新しいアイデアやよりよい解決策が導き出される。
アサーティブコミュニケーション
お互いを尊重しながら意見を交わす能力。
⇒相互利益を保った結論を導き出すことができ、関係者の満足度が上がる。
伝える力
プレゼンテーション力(提案力)
自分の考えや意見を的確に相手に伝える能力。
⇒相手から信頼や興味を勝ち取ることができ、今後のビジネスチャンスにも繋げていける。
説明力
相手にわかりやすく、納得しやすいように説明できる能力。
⇒相手の理解が促進され、よりスムーズな業務の進行が行われる。
チーム
チームマネジメント能力
チームを的確に管理し、メンバーの能力を最大限に活かし、目標達成へと導く能力。
⇒チームでの仕事がスムーズに執り行われ、より高いパフォーマンスを発揮できる。
動機付け(働きかけ力)
メンバーの意欲を引き出す能力。
⇒メンバーの主体性が上がり、積極的な姿勢が得られ、チームとしても生産性が向上する。
リーダーシップ
明確な方向性を示し、的確な意思決定を下せ、客観的に物事を見渡せる能力。
⇒メンバーの迷いが少なく、一丸となって高い目標への向かっていくことができる。
アセスメントスキル
メンバーの能力や性格、特徴などを的確に把握する能力。
⇒メンバーの効果的な育成がなされる。
コーチング・メンタースキル
メンバー(部下)の成長を促し、能力を引き出すスキル。
⇒メンバーの特徴を活かし、能力を最大限に発揮させられる。
ファシリテーション力
参加者の発言や参加を促し、議論を整理したり相互理解をサポートし、問題を解決に導く能力。
⇒メンバーの主体性が上がり、物事がスムーズに進み、効率的な決定が下せる。
協調性
意見の異なる相手ともお互いにサポートしあったりして同じ方向へ進んでいける能力。
⇒チームの満足度と生産性があがる。
受容性
自分とは異なる価値観を受け入れられる能力。
⇒チームの結束力が上がり、新しい考え方を生み出せる。
コンセプチュアルスキル(概念化能力)
コンセプチュアルスキルは物事を俯瞰から見て、本質を見極める能力です。
ビジネスに対する考え方や姿勢、問題解決能力など、より上位レイヤーのスキルになります。
コンセプチュアルスキルは、概念化能力と訳され、物事を抽象的に捉えその本質を見抜く能力のことを指します。
経営者層や管理者層などのより高い役職に求められるとされているビジネススキルですが、その内容は、チームリーダーやひいては新人まで、ジョブレベルの低い人にとっても重要なスキルです。
この項目にあるスキルを身につけているかどうかで、業務で発揮されるパフォーマンスレベルや成長度合いにおいて大きな差が出てきます。
故に、人事へのアピールポイントとしても抜群の効果を発揮します。
「マインド(思考) 」、「問題解決能力」、「姿勢」の3つに分類して体系化しています。
マインド(思考)
ロジカルシンキング(論理的思考)
「ロジカルシンキング」は、物事を体系立てて論理的に整理したり説明したりする能力。
⇒説得力のある説明が出来たり、問題解決へと導くことが出来る。
ラテラルシンキング(水平思考)
「ラテラルシンキング」は、固定概念にとらわれず、物事を多面的に考えられる能力。
⇒新しい発想やアイデアを生み出すことが出来る。
クリティカルシンキング(批判的思考)
「クリティカルシンキング」は、物事の常識に疑問を持ち、本質を見極める能力。
⇒物事の本質を捉えられ、最適な結論を導き出せる。
問題解決能力
情報収集力
必要な情報を正しく効率的に集められる能力。
⇒正しい知見から的確な判断ができ、自ら問題を解決に導くことが出来る。
分析力
物事をさまざまな要素に分解して考え、構造を把握する能力。
⇒問題点を明確にし、的確な解決方法を導ける。
俯瞰力
広い視野で物事を捉えることができ、全体像を把握する能力。
⇒調整力を発揮したり、大局観をもった行動ができる。
応用力
ひとつの経験から様々なシチュエーションに対応することが出来る。
⇒問題に出くわしても、柔軟に対応していける。
洞察力
物事の本質を見通す能力。
⇒潜在的な欲求や問題を解決することができる。
直感力
瞬間的に正しい判断ができる能力。
⇒迅速な決断をすることができる。
判断力
さまざまな物事を的確に認識し、評価を下せる能力。
⇒最適な選択を導くことができる。
先見性
先々や将来を見据えた考えができる能力。
⇒潮流を捉え、ビジネスチャンスもモノにしていくことができる。
多面的視野
あらゆる角度から物事を分析できる能力。
⇒新しい発見やアイデアを生み出すことが出来る。
柔軟性
その時々で最適な判断が出来る能力。
⇒さまざまなシチュエーションに対処することができる。
姿勢
主体性
自ら進んで責任をもって行動ができる能力。
⇒物事の理解度が高く、積極的に責任ある結果を出していくことが出来る。
向上心
前向きにスキルを磨き続ける能力。
⇒あらゆる知見を得て、どんどんパフォーマンスが向上していく。
知的好奇心
物事に対して知りたいという欲求。
⇒知見が広がり、物事を深く理解していくことができる。
探究心
物事に対して深い興味を示し、問題の深部まで潜り込める能力。
⇒物事を深く追求し、専門レベルの知見に昇華させることができる。
チャレンジ精神
新しいことに臆することなく挑戦する能力。
⇒多くの経験を積むことが出来、チャンスをモノにすることができる。
マネジメントスキル(管理能力)
マネジメントスキルは人・モノ・金・時間、など様々なものを管理する能力です。
管理職だけが身につけるスキルではなく、プロジェクトマネージャーはもちろんチームメンバーひとりひとりが身につけるべきスキルです。
「プロジェクトマネジメント」、「セルフマネジメント」の2つに分類して体系化しています。
プロジェクトマネジメント(プロジェクト管理能力)
要件定義能力
クライアントの要求を解決する方法をまとめる能力。
⇒成果物の齟齬をなくし、プロジェクトメンバーにも正しい共通認識を持たせることが出来る。
タスク管理能力
必要なタスクを洗い出し、優先順位を付け、進捗を管理する能力。
⇒過不足無く必要なことを把握し、効率的にプロジェクトを遂行できる。
リスクマネジメント(リスク管理)能力
想定されるリスクを洗い出して、事前の準備や対応策、バッファを設けておく能力。
⇒問題が起きた場合でも焦ることなく、プロジェクトの進行に支障がないように対処できる。
スケジュール管理能力
各タスクに必要な工数を積み上げ、プロジェクトの進行表を作成・管理する能力。
⇒プロジェクトを遅延なく遂行することが出来る。
コスト管理能力
プロジェクトに関わるコストを把握し、適切に配置し、予算内に収められるよう管理する能力。
⇒精度の高い見積もりが出せ、最終的な予算のブレを抑えられる。
セルフマネジメント(自己管理能力)
タスク/スケジュール/進捗管理能力
自己のタスクを管理する能力。
⇒必要な仕事とその進捗を把握でき、漏れなく効率的に業務を遂行できる。
生産性向上意識
自己の生産性を上げる方法を常に追求する能力。
⇒パフォーマンスがどんどん向上していく。
目標設定能力
適切な目標を掲げ、それに向かって適切なアプローチをとれる能力。
⇒目標達成のために論理的な考え方を持ち、高い意識で的確に業務を遂行できる。
キャリアプラン思考
自身の将来の理想像を明確にし、必要な経験・スキルを獲得していく考え方。
⇒成長意識が高く、中長期的に組織の大きな戦力となりうる。
ストレスマネジメント・レジリエンス
ストレスと上手に付き合い、困難に直面しても乗り越えていける能力。
⇒高い成長性が見込め、責任のある仕事や役職を任せられる。
ビジネススキルの重要性
未経験業界へ転職するにあたって、ビジネススキルはとても重要です。
IT実績のないあなたにとって、あなたの価値を伝えるには“仕事ができる能力”をアピールするしかありません。
この仕事ができる能力というのはビジネススキルで示すことができます。
正確には「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」「マネジメントスキル」に分類されているスキルが該当します。
「テクニカルスキル」に含まれるIT資格などのITスキルよりも重要なスキルとなります。
ビジネススキルの重要性については「ビジネススキルとは|IT業界未経験者が転職を成功させる為に有効なスキル!」「IT転職を成功に導く大事なビジネススキル6選」で詳しく解説しています。
ビジネススキルのアピール方法
未経験からのIT転職を成功させるためには、ビジネススキルを適切にアピールする必要があります。
あなたの年齢、経験、目標などによって適切なアプローチが異なります。
それぞれのアプローチに沿ったアピール方法をとることでIT転職成功の確率を上げることができます。
年齢別アプローチ
年齢や経験に応じてメインでアピールすべきビジネススキルが異なります。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
「20代・IT業界未経験者の転職方法」
「30代・IT業界未経験者の転職方法」
「40代・IT業界未経験者の転職方法」
「第二新卒・IT業界未経験者の転職方法」
職種別アプローチ
狙う職種によってもアピールすべきビジネススキルは異なります。
IT業界未経験者は、ビジネススキルが重要視される職種を狙うことで転職成功率を上げることができます。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
「IT業界未経験からでも狙いやすいIT職種」
「未経験者のためのIT業界の職種」
選考対策
また各選考においてもビジネススキルに沿ってアピールすることで、あなたの価値が明確に伝わりやすくなります。
選考について詳しくは以下の記事で解説しています。
「IT未経験者のための失敗しない志望動機の書き方」
「失敗しない自己PRの書き方」
「IT未経験者のための職務経歴書の書き方」
「失敗しない面接への挑み方|質問対策も」
IT業界未経験からIT業界への転職を成功させるための方法について詳しくは
「IT業界未経験者がIT業界への転職を成功させる方法!」で紹介しています。
まとめ
全体像や内容が掴みにくいビジネススキルについて、体系化し、各分類ごとの項目について紹介しました。
ビジネススキルとは、言い換えれば”仕事ができる”能力であり、実際の業務で大きな力を発揮するためのスキルだということが理解できたと思います。
IT業界未経験者が転職を成功させるためには、このビジネススキルを効果的にアピールしていくことが何よりも重要になります。
この記事があなたにとって、ビジネススキルについて理解を深め、その重要性を知り、効果的なアピールをすることで、転職を成功に導く力となれば幸いです。