- IT業界はブラック企業が多い?
- 業界未経験だとブラック企業に入りやすい?
- ブラック企業を避ける方法を知りたい
未経験OKの求人はブラック企業ばかりなのでしょうか。
IT業界未経験だと、未経験OKの求人から選ぶしかありません。
未経験OKのカラクリを知り、ブラック企業かどうかを見極める必要があります。
私は某大手IT企業に長年勤めてきた中で、IT業界の利益構造やIT業務の特徴について身をもって経験して来ました。
その経験を活かして、IT業界未経験者がブラック企業を避ける方法について紹介します。
この記事を読むことで、ブラック企業の特徴について理解することができ、またブラック企業を避ける具体的な方法について理解することができます。
せっかく転職できたのに、ブラック企業だったという最悪な事態を避けましょう。
ブラック企業の特徴
まずブラック企業に見られる特徴について明確にします。
ブラック企業たる理由をはっきりさせておくことで、あなたが避けるべき企業の状態を認識しておきます。
ブラック企業とは以下のような傾向のある企業であると考えられます。
- 長時間労働
- 休日出勤
- 低賃金
- 残業代未払い
- 劣悪な環境
- 異常なノルマ
- パワハラ
どれも労働者にとっては最悪な労働環境ですが、なぜこのようなブラック企業が存在するのでしょうか。
IT業界に絞ってその理由について説明していきます。
IT業界はブラック企業が多いと言われる理由
いまだブラック企業といえばIT業界というイメージが根強く残っています。
なぜIT業界はブラック企業が多いと思われているのでしょうか。
それはIT業務の特徴によるところが大きいです。
IT業務の特徴
下請け孫請け構造
ITの仕事はクライアントからSierと呼ばれる大企業が一次請けとして受注し、その下の中小企業に二次請け三次請けとして発注されていく仕組みです。
これが”IT土方”と揶揄される理由で、下に行くほど利益率や裁量度合いなどが低下していきます。
納期
IT業務は納期が決められていることが多く、その付近では納期を厳守するために労働時間が長くなる傾向があります。
クライアント業務への配慮
クライアント業務への影響を最小限にするために、システムやサービスの変更作業を行うのは利用者の少ない時間帯になります。
そのため、業務影響が出るような作業は深夜帯になることが多いです。
客先常駐
プロジェクトによってはクライアント企業に出向して業務を行うこともあり、その場合の働き方は先方に委ねられることが多いです。
トラブル対応
明確なサポート体制が整っていないフェーズでは、クライアント業務への影響を出さないために、何かトラブルがあれば休日であろうと駆けつけることがあります。
具体的なIT業務については以下の記事で詳しく解説しています。
「システム構築業界の仕事内容」
「システムエンジニア(SE)の仕事内容とは」
「プロジェクトマネージャ(PM)の仕事内容とは」
以上のようなIT業務の特徴から、ある期間においては長時間労働、休日出勤、深夜作業、突然の呼び出し、などは通常業務の範囲内として起こり得ます。
そして、大抵の企業であれば代休や休日出勤手当てなど後でフォローアップがあるのが普通です。
つまりIT業務の特質上、ブラック企業の特徴の一部である働き方を余儀なくされるタイミングがあるため、そこだけ注目されて”IT業界はブラック企業が多い”と思われがちです。
しかしながら、実際のところは他の業界と変わらずまともなホワイト企業が多く存在する業界です。
ブラック環境が起こる原因
一方、下請け孫請け構造のため下に行くほど利益率は低くなり、業績不振の企業が存在するのも事実です。
業績不振の企業などは、代休や手当などのフォローアップをする余裕がなく労働者の低賃金が起こりえます。
利益確保のための慢性的な長時間労働、休日なし、残業代未払い、異常なノルマ、劣悪な環境が起こりやすい状態です。
パワハラなどはそういった社員の疲労やストレスから起こりやすいとも考えられます。
つまり、業績不振の企業においてはいわゆるブラックな環境が起こり得る可能性があり、実際にブラック企業が存在している大きな原因となります。
企業が未経験者でも欲しがる理由
企業が未経験者でも欲しがる理由について説明します。
企業からしてみれば、教育コストも要らずすぐに貢献が期待できる経験者を求めるのが普通です。
しかしながら、未経験OK、未経験者歓迎の求人は出されています。
なぜ未経験者も対象にした求人を出ているのでしょうか?
ホワイト企業とブラック企業とでその理由が異なります。
その目的は共に”人材確保”ですが、理由はそれぞれ以下の通りです。
ホワイト求人:事業拡大のための人材確保
ホワイト企業が未経験OKの求人を出すのは、事業拡大のために人材を確保したいのだが、経験者だけでは足りない場合です。
そのため、業界経験はなくても優秀な人を確保したいと考えます。
採用した人材はしっかりと教育や研修を施して戦力になるように育てる方針です。
このような理由から発生した求人は、ホワイトな求人と呼べますが、企業の事業拡大のタイミングなどで発生するため、求人数は少ない傾向になります。
ホワイト企業については「ホワイト企業の見分け方4つ」で詳しく解説しています。
ブラック求人:高離職率の穴埋め
一方ブラック企業が未経験OKの求人を出すのは、劣悪な環境のため離職者が多く、常に人材不足な為です。
業界未経験でもとりあえず受け入れて、目の前の仕事の穴埋めをさせようと考えます。
採用した人材には教育も研修も施すつもりがないため、あまりコストが掛かからないので、気軽に募集を掛けられます。
常に募集しているため、求人数は多い傾向になります。
このように同じ未経験OKな求人でも理由はまったく異なります。
当然のことながら、ブラック求人の方は避けたいです。
IT業界未経験者はブラック企業に嵌りやすい?
IT業界未経験者はブラック企業に嵌りやすいのか?について説明します。
結論は、確率としては高いです。そのためしっかり見極めることが必要です。
IT業界未経験者であるあなたは未経験OKや未経験歓迎の求人から選ばなくてはなりません。
そして上で説明したように、未経験OKや未経験歓迎の求人においては、ホワイト求人に比べるとブラック求人の方が多くなります。
そのため、IT業界未経験者が応募できる求人の中で言えばブラックの比率が高くなります。
ただし、だからと言ってブラック企業にしか転職できないと考える必要はまったくありません。
しっかりとブラック企業を見極められれば、IT業界未経験者のあなたでもホワイトな企業に転職することができます。
ブラック企業の見極め方
ブラック企業の見極め方について説明します。
ブラック求人である可能性が高い文言や内容について把握しておくことで、ブラック企業であるかどうかを判別する材料になります。
求人票での記載を確認
まず始めに、求人票に書いてある文言から判断することができます。
ただし、そもそも求人票は如何様にも誤魔化しがきくので鵜呑みにしないのが大前提です。
その前提のもと、以下のような内容が読み取れる求人には注意が必要です。
常に募集している
先に説明したように、常に募集をしている求人は高離職率のため常に人材の可能性があり、要注意です。
さらに事業拡大等の理由なく大量に募集している求人も同じ理由で要注意です。
社員の平均年齢が若い
一見フレッシュな企業に見えますが、離職率が高く社員が定着していない可能性も考えられます。
人材育成に無頓着
未経験OKなのに研修体制がなかったり、資格取得やスキルアップをサポートする制度が無い場合は、社員の育成に関心がない可能性が考えられます。
また社員の評価制度が整っていない企業も同様です。
福利厚生がない
福利厚生がとてつもなく充実している必要性はありませんが、最低限、社会保障完備の記載がないところは企業として要注意です。
休日数が少ない
年間休日数が極端に少ない、基本的な休暇設定が無い場合は要注意です。
また完全週休2日制の表記ではない場合は、一週間に休める日にちが曖昧なため確認が必要です。
残業手当て
残業手当についての記載がない場合やあいまいな場合は要注意です。
また”みなし残業”は残業代未払いが周到に隠されている場合があるので確認が必要です。
その他の基礎手当て(通勤手当て、休日手当て)の記載がない場合も要確認です。
求人内容については「求人内容の正しい見方」で詳しく解説しています。
面接時の確認
社内の雰囲気が悪い
応募先企業での面接のときには、その企業の雰囲気を感じ取ります。
活気がなかったり、すれ違った社員が異様に疲弊している場合は要注意です。
聞かれる内容が体育会系
面接で聞かれる内容が、体力だとか我慢強さだとか体育会系の様なことばかり聞かれる場合は要注意です。
過酷な労働環境が待っている可能性があります。
内定までのスピードが異常に速い
面接してから内定が出るまでのスピードが異様に速い場合は要注意です。
そのような企業は常に人材不足に陥っている可能性があります。
ブラック企業を避ける方法
ブラック企業を避けるための具体的な方法について紹介します。
ここまでブラック企業を見極める方法について説明してきましたが、実際のところ求人票や面接時の印象などの一面的な情報だけでは正直判断しきれないのが現状です。
そのため、より確実性を高める方法について紹介します。
口コミサイトを利用する
企業の口コミが載っているサイトなどを利用するのも効果的です。
実際の社員や退職者のコメントなどが発見できるとさらに参考にできます。
ただし、その信ぴょう性を確かめるのは難しいのと、小さな企業であれば口コミがない場合もあり、あってもその少ない意見で判断を下すのは危険です。
転職エージェントを利用する
ブラック企業を避ける方法として一番効果的なのは「転職エージェント」を利用する方法です。
転職エージェントについては「転職エージェントとは|IT業界未経験からの転職に必須な理由と選び方」で詳しく解説しています。
転職エージェントを利用すべき理由は以下の通りです。
ブラック求人が少ない
まず、転職エージェントに求人を出す場合には企業は高いコストを払っています。
そのため転職エージェントから紹介される求人には業績不振なブラックな企業は少ない傾向があります。
それに対してハローワークは企業側のコストがほぼないため、その求人には業績不振の企業も多いのが実情です。ブラック企業を避けるためには絶対に利用するのは避けましょう。
企業の内情が聞ける
転職のプロである転職エージェントは、企業の内情についても詳しいです。
そのため、求人票などの表向きの情報だけではわからないことについても教えてくれます。
ブラック企業かどうかを直接聞くことができるのでとても有効です。
早期退職のペナルティがある
転職エージェントは企業に転職者を紹介することで得られる報酬で成り立っているサービスです。
転職エージェントには、転職者が転職後に早々にその企業を辞めてしまった場合、企業側にペナルティとして報酬の一部を返金をする規約があります。
そのため、あなたを騙してブラック企業に誘導するような可能性は低いため、ブラック企業を避ける方法として信頼性があります。
転職エージェントサービスの仕組みについては「失敗しない転職エージェントの選び方」で詳しく解説しています。
以上のように、ブラック企業を避けるためには、自分だけの判断だけでなく、転職エージェントのアドバイスを受けることがとても有効です。
IT業界未経験の場合、そもそもの求人数が少ないため、焦って目の前の求人に目が奪われがちです。
そのため、むしろ必ず転職エージェントのフィルターを通すことで、ブラック企業に応募してしまうことを避けることが大切です。
転職エージェントをうまく活用する方法については「転職エージェントの上手な活用方法」で詳しく解説しています。
まとめ
IT業界未経験者であるあなたがブラック企業に陥らないための方法について紹介しました。
業界未経験だと、未経験OKや未経験歓迎の求人から選ぶ必要があり、ブラック企業に当たる可能性が高いのが現実です。
しかしながら、ブラック求人の特徴を知り、転職エージェントのアドバイスも受けることで、ブラック企業を避けることは可能です。
この記事を参考にして、ぜひともホワイト企業への転職を実現させていきましょう。